とやま呉西圏域共創ビジネス研究所 第3期
地域課題と企業課題を解決する地域プロジェクトの創造 いざ未来形魚津へ!

事業レポートReport

とやま呉西圏域共創ビジネス研究所第3期6日目
圏域の地域課題とビジネスチャンス③

日時:令和元年12月6日(金)15:00〜18:00
場所:富山大学高岡キャンパスH282演習室

とやま呉西圏域共創ビジネス研究所の6日目が開講。南砺市から講師を招き小規模多機能自治の取り組みについてについて説明を受け地域の生き残りのための行政の新しい取り組みと動きについてと,共創研究所修了生が地域課題解決のまちづくりのための取組事例をヒアリングし,地域の自治での課題や地域住民の課題を解決するための地域経営についてのヒントとビジネスへの可能性を探った。

講義
圏域の地域課題とビジネスチャンス③ 南砺市小規模多機能型自治への挑戦!

講師:南砺市南砺で暮らしません課長 市川孝弘氏
圏域の地域課題とビジネスチャンス③ 南砺市小規模多機能型自治への挑戦!

 南砺市の小規模多機能自治の取組みについて紹介説明。南砺市の協働の流れとして,平成21年の市民協働課設置から現在の「南砺で暮らしません課」となった経緯と平成31年開設した一般社団法人「なんと未来支援センター」開設について紹介。政府の地方創生の小さな拠点形成や地域運営組織づくりを受け小規模多機能自治推進するネットワーク会議がに令和元年11月現在316団体(259自治体)が参加し富山県内では南砺市と氷見市が参加している。小規模多機能自治とは,市内の自治振興会単位(旧小学校単位)で地域の課題化帰結に結びつく多面的な活動・イベント・サービスを行政で無く住民自治で地域経営することであると説明,小規模多機能自治の取り組みには経営要素が必要で事業ヒントや可能性があると話した。

南砺市では平成20年11月の田中市政の三本柱「市民が主役の市政」「常に市民目線の行政運営」「市民と行政の協働のまちづくり」のもと南砺市まちづくり基本条例を平成24年3月制定7月施行し,厳しい行政運営の透明性・市民との情報共有を規定。市民会議や合同勉強会をおこなってきた。平成26年の増田レポートで南砺市が消滅可能自治体にあがり,人口推計でも50年後には6割の人口となる予測があり早急な対応を模索する中,28年に実施したフォーラムで小規模多機能自治を取り上げ現在の取組につながっていると経緯を説明。

小規模多機能自治の2つの特徴について島根県雲南市の事例を元に説明。特徴の第一として組織などの見直しをあげ,概ね小学校区域で従来からある様々な団体(地域の自治会・町内会,消防団・営農団体・文化サークル,PTA・女性グループ・高齢者の会等)も含めあらゆる団体を結集した組織とし,世帯単位ではなく中学生以上全員の一人づつのアンケートを実施して意見集約するなどしている。

地域の総力を結集して地域課題を自ら解決する地域の経営体(住民自治のプラットホーム)とし,地域同士の学び合い・高め合いの場とする地域自主組織取組発表会,地域と行政の協議の場となる地域円卓会議(市・議会・自主組織)をおこないっている。第二の特徴として課題解決するための事業をおこなうことで,安心生活見守り事業,買い物支援事業などの事例を紹介し,小規模多機能自治の進展で行政への住民意識が「やってくれない」から「やらしてくれない」に変化した地域が増加して開かれた公共へと変わり新しい公共の創出へと変わり人口減少の歯止めに繋げていると説明。

南砺市では平成29年度前半に小規模多機能自治について住民への説明を市内全地区(31地区)でおこない,31地区ごとの人口予測を示しながら,現在のまま何もしなければ地区はどうなるのかをシュミレーションして示しながら社会課題である人口減少について住民へ説明し,地域の様々な組織の課題の見直しと将来を見据えた地域の姿を説明理解を求め話し合い,29年度後半に南砺市の小規模自治の在り方や理想像を検討する市民会議を開催した。

市民会議は市街地・平野部・山間部で5グループ,老若男女のメンバーで提言書をまとめ平成30年1月に提出。平成30年度前半に南砺市型小規模多機能自治推進の具体的内容について「31地区まるごと意見交換会」を開催し組織運営について課題を整理。課題解決へ向けて事務局体制強化は重要項目であると話し,体制整備のために従来の自治振興会,公民館,地区社協体制の一本化と課題に応じた部会制の設立と公民館のコミュニティセンター化,事務局の強化(地域での職員採用)の3つの柱を立て取り組み準備を進めた。

平成30年度後半には住民向けに「みんなの住民自治創生セミナー」を開催し地域人材の育成を図った。南砺市内各地区で全住民へのアンケートや勉強会や組織の検討・人選などをおこない平成31年4月にいよいよスタートラインに立ったとこれまでの準備と経緯について説明した。各地区順次スタートさせ,組織を整え特色を出した活動や事業取り組みをおこなっており,取り組み発表会や円卓会議も実施したと紹介し今後も持続可能な地域づくりを推進していくと話した。

討議① 〈テーマ〉小規模多機能自治

人口減少の中での困り事を解決する手法としての小規模多機能自治の内容を受け,住民自治・自治での地域経営について,人口減少の歯止めができるのか,どの様なビジネスチャンスがあるのかなど感想や意見を個人で整理し,各グループ内で討議・共有を図った。

各グループでは自身の自治会運営の現状と比べたり,自身のビジネスとの関連付け,まちづくりや世代感覚の違いなど各自の地域や立場からの感想や意見を交換した。グループ討議後,各グループの代表が討議内容について発表し全体で共有化が図られた。全体発表を受けて,金岡教授より自分たちでマチを守るエリアマネジメントと日本版CCRCにおける高齢者イメージについての補足説明があり,高齢者介護支援の役割の移行がおこなわれており専門職から地域・民間へのロールシフトがおこなわれている背景を説明し、多様な資源活用とサービスを担う小規模多機能自治の必要性と可能性について話し,修了生のコミュニティビジネス事例をあげ,ビジネスの可能性についても取り上げた。

また,講師の市川氏は,介護度が1%下がると3億円浮くので介護前の要支援状況で手を打つことが効果的であり,地域経営者にはビジネスセンスが乏しいのが現実で地域とビジネスプレーヤーのマッチングが必要であると話した。

事例紹介
地域課題解決と企業経営

講師:丸進商事株式会社・福祉用具まるしん 代表取締役 塚田高史氏
丸進商事株式会社・福祉用具まるしん 地域課題解決と企業経営

地域課題解決と企業経営について地元高岡の事例として,伏木地区で福祉用具の販売・レンタル等をする「福祉用具まるしん」と買い物サービス支援センター「ストアまるしん」の事業展開やその背景,今後の展望と課題についてをヒアリング。

県外就職からUターンで丸進商事株式会社へ入社後,ビジネスの可能性を探り,平成21年10月「福祉用具レンタル・販売まるしん』の名称で福祉事業を正式に開始。介護保険に適用する福祉用具のレンタルと販売・住宅改修を業務としている。
平成23年に富山県より「買い物サービス支援モデル事業」を委託され地元スーパーと連携し必要に応じた食品を高齢者宅まで届け,安否確認も兼ねた「買い物サービス」を開始。平成25年11月には食料品・日用品・介護用品の購入および福祉の相談窓口を設けた買い物代行の拠点となる施設「ストアーまるしん」を設立したと紹介し,事業内容について説明した。高岡伏木地区の地域課題について地形や商業施設の現状,交通の便などを説明し,買い物代行サービス支援に取り組んだ経緯を紹介

買い物代行サービスに取り組んだ当時の状況と成果について収支状況も含め説明した。また,平成25年11月に開店した買い物サービス支援センター「ストアーまるしん」の取り組みについて説明。食料品や日用品,介護用品の購入店舗スペースだけでなく,利用者が集まり自由に交流できるスペースも併設した多目的店舗を運営し,買い物代行サービスの拠点として活用。高齢者福祉全般の相談窓口として気軽に立ち寄れ,地元の人たちの日常生活で困難に思っていることの把握ができる場となり,収支的に黒字で運営できたと説明した。

展望として買い物代行サービスの新しい取り組みとして「伏木型地域ステーション」の構築を目指して地域商店やサービス業との連携やカルチャー教室,包括支援センターや病院との連携を進めている。地域課題に取り組むことで知名度が上がり,売上も順調にアップし,スタッフも増員できたと話し,近年の活動として地域包括支援センターの講演や総合病院と連携したワークショップ,商工会議所の事業開催や古物商の許可を申請して福祉用具の中古販売や地域ブランド商品の販売,高岡落語祭りなど地域イベントの開催にも取り組んでいると紹介。

「買い物サービス・ストアまるしん」の今後の可能性は大きいが,地域の人の変化や現状の福祉用具事業が好調多忙となり,ストアへの比重が低くなっきた。ここで改めて買い物サービスの新しい形を考えていきたいと話した。

討議② 〈テーマ〉福祉用具まるしんの事例について

各研究生は福祉用具まるしんの事例について地域課題や企業課題、解決へ向けての手法など介護と買い物代行の事業に関しての感想や意見をまとめ全員で討議した。様々な高齢者介護の課題や地域課題について,事例事業開始から8年間の変化,高齢者の変化,社会の変化,地域コミュニティについてなど各研究生間で意見を交換し情報共有を図った。